賭け式と控除率の関係

JRA単勝複勝控除率を約20%にして他を約25%にしている。賭け式によって控除率を変えているわけだ。しかし、競輪ではこのようなことはなく全て同じで25%である。賭け式によって控除率を変えることはどういう意味があるのかを考えてみる。

世界の競馬の場合

各国で行われている競馬について調べていくと賭け式で控除率を変えるのは一般的であるようだ。世界の控除率を比較する : 【馬房生活】に各国の競馬の控除率がよくまとめられている。これによると英国では以下のようであるという。

単勝(Win)      13.5%
複勝(Place)     18%
馬連(Dual Forecast) 29%
馬単(Exacta)     24%
6重複勝(Placepot)  27%
6重勝(Jackpot)    29%
4重勝(Quadpot)    29%
3連単(Trifecta)   29%
指定6重勝(Scoop6)  30%

まず気づくのが単勝が13.5%と非常に低いことだ。そして3連単重勝のような目の数が多い賭け式は高い率になっている。ただし、馬連馬単より高いといった例外もある。他の国でも概ねこの傾向にある。

賭け式によって控除率が違う理由

競馬では賭け式で控除率を変化させることは全く普通にやられていることが分かった。ではなぜこうなっているのだろうか。単純には、控除率に大きな差があると低い賭け式の方がが得なのでそこに投票が集中してしまい、高い率の賭け式は成立しなくなってしまうのではないかと思える。相対的に高い控除率でも賭ける人がいるのはその賭け式に他より魅力があるからだと私は考える。3連単は最も有利な賭け式だで書いたように、多くの選択肢を持つ賭けの方が投票者の予想能力を発揮しやすい、すなわち勝つチャンスが大きい。多くの人がその性質に魅力を感じるので控除率を高くしても売れるのだ。主催者はこの点を考慮して全体で利益がなるべく多くなるように各賭け式の控除率を決めていると考えられる。

競輪の場合

今はもうないが昔競輪には単勝複勝があった。しかしこれらは全く売れず形として存在しているだけで賭としては成立していなかった。その理由は控除率を連勝式と同じ25%にしたことにあったと思う。目の数が9しかない単勝で25%は高過ぎて長期的に勝つチャンスが著しく小さくなってしまう。誰も勝てないような賭けは誰もしないのだ。はっきりした根拠はないが私の感触からは15%程度にするのがバランスが良いと思う。少なくとも20%くらいにしなくては成立しないだろう。

単勝とは反対に、3連単控除率を2車単と同じ25%と低く設定した。その結果、3連単は非常に魅力的な車券となりよく売れた。これは 競輪の7賭け式の売上げシェア 3連単が売れる理由で書いた。主催者の立場で考えると、25%より高く設定していた方が利益は上がったと思うし、賭け式のシェアももっとバランスが取れて良かったかもしれない。私の感触では28%か29%くらいにすれば良かったと思う。しかし、競艇が25%の3連単を先に出していたため現実的には無理だったろう。

今から3連単控除率を上げることは、不景気や他競技との競争があるのでまずできないが、控除率を下げた単勝を売るのは良い施策かもしれない。単勝は勝つ選手を当てる単純な車券であるから、儲けることを追求するタイプの投票者には不向きだが、レースをスポーツ鑑賞として楽しむことに重点を置く投票者や初心者には適している。前述のように客の立場からすると控除率は15%程が良いが、こうすると単勝がかなりシェアを取って主催者の利益は減ると予想されるので主催者は20%くらいにしておきたいだろうか。JRAはこんなふうに考えたのかもしれない。