7車立チャレンジ戦の売上(1)

2012年からF2開催のチャレンジ戦が7車立で行われている。まだ1ヶ月余りの短い期間ではあるが、チャレンジ戦の売上がどう変化したか調べてみた。

チャレンジ戦の売上の割合

2011年と今年のデータを比べるのだが、売上そのものの増減を見てもよく分からない。なぜなら売上は開催場や日程など非常に多くの要因で変化するので、7車立化の影響がどの程度なのか判断することができないからだ。

そこで、F2開催の全売上に対するチャレンジ戦の売上の割合を比べることにした。もし7車立が客に好まれているならチャレンジの売上割合は上がるだろし、そうでないなら下がるだろう。チャレンジ戦の売上割合が変わるなら、それは7車立化の影響とほぼ断定できる。

競輪見太郎のデータを元に集計すると、2011年に行われた全ての通常のF2開催の売上に対するチャレンジ戦の占める割合は、26.8%だった。これに対して、2012年のF2開催(2月2日までに終了した43個開催)では、27.5%であった。

わずかにチャレンジ戦の割合が上がっている。しかし、2012年からはA級12班戦のレース数が7個から6個に減っていて、この影響を考えるとわずかなチャレンジ戦の上昇は説明ができるだろう。よって、7車立化はほとんど売上割合に変化を及ぼさなかったと言える。

堅い本命レースの増加

7車立化によってレースは堅くなる。堅い本命レースが増えていることをデータで見てみよう。2車単と3連単を合わせた投票で1着の支持率1位の選手を本命としたとき、その本命選手の勝率を調べた。2011年のチャレンジ戦全体では、46.7%であったのが、2012年は58.8%と12.1ポイントも増加している。また、オール予選のため特に堅いレースの多い初日に限ってみれば、2011年は52.4%だったのが、2012年には62.3%になっている。

やはり7車立化でレースはかなり堅くなっている。本命が平均で6割近くも勝つのは驚きだ。KPK以後では断トツで堅い概定番組だろう。

3連単の売上シェア

次に、賭け式ごとの売上が変化したかを調べた。現在最も売れている3連単の売上シェアを比べた。2011年のチャレンジ戦の3連単の売上シェアは69.3%であり、2012年には72.0%になっている。2.7ポイントだけ上昇している。7車立で目の数が減ったため3連単に移ってきたと考えられる。ただ、大きくは変わらない。

変化しない投票

9車立と7車立ではレースの内容が大きく変わっている。7車立はレース展開が単調になり本線が有利になりやすく、堅いレースが多くなる。上で見たように実際とても堅い。競技としても賭けとしても性質が大きく変わっているのだ。にもかかわらずチャレンジの売上割合はほとんど同じである。

F2に通う競輪客は、レース内容や本命レース/穴レースに関係なく、賭け式を大きく変えることもなく、同じように買う保守性があるようだ。

7車立チャレンジが始まる前、あまりにも堅いレースばかりになるので賭けとして魅力が削がれ売上は減る、と私は予測していた。レースが堅いかそうでないかで売上は変わらないという結果を得ていたが(堅い本命レースは売上が上がるか? - 競輪雑考)、それにも限度があると思ったのだ。私の予測は間違いだった。

しかしまた、混戦レースよりも分かりやすい堅い本命レースの方が売れる、と考えてた人も正しくなかったことになる。

7車立は許容されるのか

売上が減らないなら経営的には賞金が少ない7車立の方が良い、と考えるのは疑問だ。元々F2はほとんど赤字なので、9車立で開催日数を少なくした方が経費全体として小さくなる可能性が高い。

そして、A級12班戦やG開催で7車立が受け入れられるかは全くの未知数だ。もし主催者側がやりたいのなら、まず実験開催をして客の動向を見てからにすべきだろう。チャレンジ7車立化は、客が7車立を好むという意見が多かったからやったわけではなく、選手不足という主催者の都合で行った点が良くないと思う。

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以上の分析はまだ始まって1ヶ月の段階でのものだ。長期的に検証していきたい。