「大数の法則で回収率は75%になる」?

競輪競馬のような公営競技控除率が25%であり、誰でも長く続けていれば大数の法則で回収率は75%に収束していく。だから必勝法は存在しない。

という話がいろんな所に書いてある。例えば、「大数の法則 控除率」というキーワードでwebを検索すればいっぱい出てくる。これは本当だろうか。結論から言うと間違いだ。間違っていることを解説したページもたくさんあるので詳しくは述べないが、各人の回収率の期待値はその人の予想の能力によるのでまちまちであり、全員が75%であるはずはないからだ。賭け金の総額に対して75%が還元されるのは間違いないが、長期的にある人は回収率が60%になり、ある人は90%になり、またある人は120%になっても何ら問題はない。そして長期的に100%以上の回収率になる人がいれば、その人の買い方は必勝法であると言える。すなわち必勝法はありえる。

ただし、特別なある条件が成り立っているときこの命題は真になる。その条件は、全てのレースにおける全ての目の配当倍率が、その目が的中する確率を正確に反映している場合である。例えば、ある目が7.5倍ついていてその的中確率が10%であるなら、その目を買ったときの回収率の期待値は7.5倍*10%=75%になる。このように全ての目の配当倍率が、期待回収率=75%となるように決まっている状態であれば、どの目を買っても、すなわち誰がどんな買い方をしても回収率は75%に収束していくことになる。

さてこんな都合の良い条件が実際成り立っているだろうか。でもひょっとすると、一部の投票者は非常に優秀で、少しでも割安な目にはすぐ買いが入り、誰も鞘が取れない状態になっているのかもしれない。この条件が成り立っていないことを証明するには、どんな買い方でもよいから十分多くのレースに対してその回収率が75%ではない例を1つあげれば良い。前にでたらめに車券を買ったときの回収率の期待値を2007年のほぼ全レースについて算出したが、これが3連単で66.6%であり75%より十分小さい。よって、やはりこの命題は偽であるのだ。