黒澤映画の競輪

黒澤明監督作品で競輪が出て来るのがあったという記憶があって、たぶんテレビ番組でそのシーンをちらっと見たものだと思うのだが、これをはっきり確かめられずにいた。主だった黒澤作品は見ているので、まだ見ていない「野良犬」か「醜聞」だと思っていたが、先週と今日NHK-BSで放映された両作品を見て競輪シーンがあるのは「醜聞」だと分かった。ちなみに「野良犬」にはプロ野球が出て来る。

映画では、志村喬演じるダメ弁護士蛭田が、自分の依頼主(=三船敏郎)が訴えた相手に「川崎の競輪場」に呼び出され買収される。蛭田は相手から金をもらってそれで車券を買ってははずす。

レースの様子や群集が描写されており、これは実際の開催中の競輪を撮ったもののようだ。バンクはカントが非常に緩く、観客席は平面的で、前に紹介した昭和34年(1959年)のニュースの映像より古い感じだ。映画が公開されたのは1950年なので10年くらい前ということになる。また、小倉で競輪が始まったのは1948年である。競輪場が観客でごった返しているのはどちらの映像にも共通だ。

天下の黒澤が競輪を撮っていたというのはちょっとうれしい。