「車券予想に関する顧客満足度向上に関する取組」

KEIRIN.JPで車券予想に関する顧客満足度向上に関する取組について(pdf)という資料が公開された。この中で私が注目する項目について意見を述べたい。

3連単発売制限

「webアンケートで90%が現状支持」すなわち客は制限反対が圧倒的に多数であるということだ。3連単の賭け式別売上げシェア70%から考えても当然の結果だろう。しかし、3連単発売制限は完全に破棄されたわけではなく「お客様からの支持は得られていない。しかし一部施行者が3連単を発売制限したいと回答しており、お客様のご意見から推察できるリスクを踏まえ、お客様の満足度向上が得られるとの確信を得ている一部の施行者が実施に向けた検討を行うことは否定しない」という。うーん、なんでこんな望みが薄くリスクの高いことに執着するのだろう。純粋に理由が知りたい。(参考:3連単の発売制限はすべきでない - 競輪雑考, 3連単で資金の回転が悪くなるか? - 競輪雑考)

単勝

アンケートによると客のニーズはあるが実施する予定は無くて引き続き検討するそうである。控除率をどうするかも触れられておらず、最初からあまりやる気が無かったのかもしれない。G3以上のレースだけでいいから控除率20%の単勝を売るとおもしろいと思うのだが。(参考:賭け式と控除率の関係 - 競輪雑考)

競技ルール

実際に改定されるルールを見ないとはっきり分からないが、落車がない失格の判定明確化をやろうとしているようだ。大雑把にいうと競輪で失格になるのは、内抜きと故意の接触で落車させた場合であるが、落車させなくても故意の接触が度が過ぎる相当ひどいときは失格になる。この場合の判定を客観的にする。しかし、明確化できればそれに越したことはないが、難しく微妙な判定を無理にすると返って客は混乱し不満を持つ。落車させたら失格という大原則が揺るぐことがない改定を望みたい。

概定番組

F1、F2(A12班)、G3の全ての概定を変える大きな改定である。個人的には全くうんざりする。この前チャレンジを導入した大改定から2年半しかたっていない。基本的で広範囲に影響がある変更を頻繁にやられては、予想法の再検討を強いられその間車券が買えなくなってしまう。チャレンジ導入のときは半年以上休んだが今回はどうしようか。良い方向に変化することは間違ったことではないが、安定したルールを維持することも投票者にとって大きな利益になることをJKAは考えるべきだろう。

G3の準決勝、2次予選をシンプルに

A、Bとかあったのを一つの種目にして、客が馴染んでいる普通の形式にする。これは良い思う。

F1、F2(A12班)、G3で初日選抜をなくす

初日は特選と予選だけになる。これには驚いた。初日が本命レースばかりになってしまうと思うんだが、これで多くの客の満足度が上がって売上げが伸びるのだろうか。どこからでも狙える穴レースが好きな客の不満はどうするのか。

F2の初日を考える。今は7個レースのうち4個が予選だからこの開催に参加している選手の下位4/7=57.1%の選手が予選を走ることになる。新概定だと7個レースのうち6個までが予選になるので6/7=85.7%が予選回りである。これだけ多くの割合の選手が1つの種目に割り当てられると1つのレースの中での選手の強弱がはっきりしてしまい、現状よりかなり本命レースが多くなる。

F2はチャレンジの初日がオール予選であるため、現状でも本命レースが非常に多い。チャレンジ予選のオッズから求めた本命選手の勝率は2009年で54.8%にも及ぶ(競輪全体での勝率は38.5%)。新概定のF2初日は1Rから11Rまでずらっと本命レースが並ぶことになりかねない。これを客が望んでいるのか大いに疑問だ。

資料にお客様のご意見として「レースの主役がはっきりして買いやすい」とある。もちろんそういう人もいるだろうが、実力拮抗のレースが好きな人もたくさんいてその結果うまくバランスして全体の満足をもたらすのだと思う。新概定は明らかにバランスが悪い。これで「初日はかたいレースばかりでつまらない」というアンケート結果が多かったらまた変えるんだろうか。