狙いは中穴

高配当車券は過大に評価される

3連単と2車単のオッズによる回収率 - 競輪雑考で車券を配当倍率の範囲で分類しその範囲にある車券の回収率を調べた。これによって高配当の車券ほど回収率が低下することが分かった。2008年、2009年の新しいデータで集計したもので配当倍率-回収率の特性をグラフにすると以下になる。

右端の不安定な超高配当領域を除くと、やはり右下がりの曲線になっている。高配当の車券はその的中確率とは独立に過剰に投票される性質があると考えられる。このため高配当な車券ほど実質的な控除率が高くなっているとも考えられ、高配当な車券ほど儲けるのが難しい。

低配当車券は正確に評価される

2車単で3.0倍付けてる目があるとする。控除率が25%だから、0.75/3.0=0.25となって全投票のうち25%の票がこの目に投じられたことになる。投票者全体の総意としてこの目が的中する確率を25%と判断しているとも解釈できる。

この目の的中する確率をpとすると、この目の車券を買ったときの回収率の期待値Eは、E=p*3.0になる。もし全体の意見が正しくてp=0.25だとしたらE=0.25*3.0=0.75となってE<1.0なのでこの目の車券を買っても儲からない。E>1.0であるには、p*3.0>1.0からp>0.33である必要がある。

p>0.33であるとすると0.33-0.25=0.083から、少なくとも全投票の8.3%が間違っていたことになる。反対に言えば、3.0倍の目を買って儲かるには、全投票の8.3%以上が誤った判断の票を投じていることが必要になる。

次に、30.0倍の目を同様に考える。30.0倍の目を買って儲かるには、全投票の1.0/30-0.75/30=0.83%以上が誤った判断の票を投じることが必要になる。3.0倍が儲かるには8.3%もの票が誤っている必要があるのに対し、30.0倍ではわずか0.83%でよい。よって、3.0倍の方が儲けにくいと考えられる。

低配当な目は多く人が多くの票が投じるのでそれだけ評価も正確になるのに対し、高配当な目は少数の人の判断しか反映されないので評価の散らばりが大きくなる。車券で勝つには過小に評価されている目を探してそれに賭ける必要があるのだから、低配当な目より高配当な目の方が適している。

中間的な配当の車券にチャンスがある

以上のように、高配当な目は一攫千金を狙う人の票が過剰に投じられて回収率が下がるバイアスがあり、一方、低配当な目は多くの人の投票で正確な評価になりやすく利を取ることのできるレースがあまりない。よって、儲けるチャンスが大きいのは低配当でも高配当でもない中間的な配当、すなわち中穴を狙うのが良いと私は考える。