2009年の落車、失格

2008年の落車、失格 - 競輪雑考で示したデータに2009年分を加えて以下に示す。元データの詳細は落車、失格の発生頻度の時間的推移 - 競輪雑考を参照されたい。

年度 レース数 落車人数 落車レース数 失格レース数 落車率(%) 失格率(%)
1988 39549 5903 3112 2085 7.87 5.27
1989 39931 6233 3223 1615 8.07 4.04
1990 39720 5599 2944 1593 7.41 4.01
1991 40039 4777 2535 1723 6.33 4.30
1992 39915 4534 2397 1805 6.01 4.52
1993 40249 4407 2317 1815 5.76 4.51
1994 39722 4267 2322 1945 5.85 4.90
1995 39837 2871 1533 1469 3.85 3.69
1996 39791 3198 1722 1563 4.33 3.93
1997 39633 3371 1763 1502 4.45 3.79
1998 39549 3527 1857 1568 4.70 3.96
1999 38554 3778 1975 1601 5.12 4.15
2000 38158 4096 2142 1631 5.61 4.27
2001 - - - - - -
2002 35663 4272 2301 1670 6.45 4.68
2003 35599 4428 2371 1722 6.66 4.84
2004 35567 4024 2196 1791 6.17 5.04
2005 34772 3985 2176 1562 6.26 4.49
2006 32153 4115 2199 1473 6.84 4.58
2007 32729 3920 2129 1403 6.50 4.29
2008 32994 3954 2116 1350 6.41 4.09
2009 32404 3764 2072 1263 6.39 3.90

落車率、失格率の推移をプロットすると以下になる。赤線が落車率で緑線が失格率である。

落車率は2008年とほとんど同じで、2002年からの横ばい傾向が続いている。失格率は2009年も下がり、2004年を頂点とした減少傾向がはっきりした。

考察

失格するのは落車、車体故障を引き起こした場合が大半であるので*1、単純には失格が減ると落車も減ると考えられる。しかし実際は落車は変化がない。失格者のいないレースでの落車はいわゆる相互接触によるとされる場合がほとんどである。なぜ相互接触による落車が増えたのだろうか。

まず、失格が減った理由だが、過度な故意接触プレイが減少したんじゃないかと思う。無茶な競りや捲ってくる車に後輪をぶつけるようなブロックは見る機会が減ったような気がする(あくまで気がするだけだが)。落車させたら明らかに失格になるような過激なことをする選手が少なくなっていったと考えられる。

相互接触で落ちる場合、不可抗力で偶然に落車が発生するのは稀で、どちらも軽度の違反行為をしていることが多い。落ちた方も悪いことをしているので落とした方を失格にするのはやり過ぎだというような状況である。相互接触による落車の増加は軽度の故意接触プレイが増えたためと考えることができる。

以上より、故意接触プレイにおいて過度なものが減って軽度なものが増えていると考えると落車、失格率の推移が説明できる。もちろん実証したわけではないので正しいかどうかは不明であるが。またこの傾向は近年の選手賞金の平均取得額の減少と整合的である。失格のリスクをおかしても高い賞金を狙っていた強い選手は、賞金が下がったためそのリスクを取るのを控えるようになった。高い賞金が望めない比較的弱い選手は安定を志向して失格落車のリスクは避けてきたが、賞金が下がったことで多少リスクを取ってでも良い成績を狙うようになった、と考えることができる。

*1:落車が絡まない失格の主なものは内側追い抜きで失格全体の2割弱を占める。近年、内抜きだけが特に減っているということはない。