でたらめに車券を買ったときの回収率の期待値

普通は当てようとか儲けようと思って車券を買うが、そうではなく、予想も何もせず全くでたらめに買い目を決めて車券を買った場合、その回収率の期待値はどんな値になるだろうか。的中率は低くなるが大穴が当たることもあるのでそこそこの回収率になるかもしれない。私は何年か前に実際に調べてみるまで、なんとなく0.75になると考えていたが、これは間違いだった。

でたらめに車券を買うとは?

でたらめに買い目を選ぶには、さいころを振るとかルーレットを回すとかして決めれば良い。計算機で疑似乱数を発生させてそれを使うのも簡単だ。そういうプログラムを書いて求めても良いが、ランダムに目を選ぶことを繰り返すと全ての目が一様に選ばれることになるので、多数回繰り返すことを前提とするならランダムな目を買うことは全ての目を同額買うことと同じになる。今は期待値を求めたいので同額買いの回収率を調べれば良い。

期待回収率の算出

求めたいでたらめ車券の期待回収率は、過去の多数のレースについて全ての目を同額だけ車券を買ったときの回収率となる。大雑把に考えると、

(回収率) = (的中車券の平均配当倍率) / (全ての目の数) ... (1)

となる。2007年に行われた32573レース*1について、2車単と3連単では下表のようになる。

レース数 平均配当倍率 目の数 回収率
2車単 31449 46.6倍 72 46.6 / 72 = 0.647
3連単 31254 335.7倍 504 335.7 / 504 = 0.666

(1)式をそのまま使うため、9車立て、同着がない、特払いでないレースのみを対象にしている。

期待回収率 < 0.75

2車単、3連単とも回収率は0.65前後になっている。初めに書いたように、私は0.75になると考えていたが、こうなることはありえないのだろうか。もし全ての買い目の期待回収率が同じなら、控除率が0.25だからその値は0.75になるはずだ。そうでないと全体の賭け金の収支が合わない。実際は0.65なのだから、目によって期待回収率が違っていることになる。

全ての目を一様に買うことを非常に多くレースに対して行うのだから、全体でならされて全ての目が同じ回収率になると思ったのが私の間違いの元だった。ではどういう条件で回収率が異なるのだろうか。結論から言うと、目の配当倍率に依る。具体的には、低配当の目は回収率が高く、高配当の目は回収率が低い傾向がある。一般にあるレースにおける高配当の目の数は低配当の目の数より多いので、全ての目を同額買うと回収率の低い目に多くの額を賭けることになり、全体の回収率が0.75を下回ることになるのである。

また、このでたらめ車券の期待回収率が0.75ではないということは、車券の売れ方は金融理論で言う「効率的市場」になっていないことを示している。すなわち、いくら賢くても競輪では儲けられない、と断定することはできない。

*1:初日を2007年内に行った節の全ての成立したレース、としている